クロノクロス哲学※ネタバレ注意

もなです。

40時間かけてクロノ・クロスをクリアしました。

感想になります。

このゲームを一言で表すと、

 

『現代哲学書』になります

 

ストーリーでは、ヒロインが序盤に哲学者になってしまい、語り始めたり、明らかにパラレルワールドというテーマに沿わない、浮いているポエムが物語の途中に散りばめられ、急に始まります。

 

クロノ・クロスの発売日は1999年です。

22年も前になりますが、最先端の哲学を持っています。

今回は、それについての自分の解釈(妄想)を書き記そうと思います

 

 

最初に、自分が考えるクロノ・クロスを支えるものが

・進化論

・シミュレーション仮説

の二つです。

 

現代では、古生物学の進歩により、どの様な道を辿り生物が淘汰され進化してきたのか説が立てられています。

 

人間であれば、脊椎動物が陸上して、単弓類→獣弓類→哺乳類→胎盤獲得→猿→猿人→人

の様に、進化の間を埋める化石が発掘され、進化の道筋を理由付けしています。

人間を形作るものや感覚器官、意識までもが淘汰による結果である。

 

それは、神の否定です。

 

ゲームのストーリー終盤、遥か未来の科学研究施設のフィールドにて、時空間の制御を目指した施設、「クロノ・ポリス」があります。

 

1999年なりの未来感漂う研究施設では、各フロアにて研究内容が違います。

そのフロアの一つに進化について研究するフロアがあるのです。

 

クロノ・クロスでは、マナといった概念があり、皆属性を持った魔法を使います。ドワーフも妖精も居ます。

その様な神的エネルギーを扱う、いわばファンタジーです。

 

なのに、命は海で生まれ、いずれは魚類、両生類、爬虫類、哺乳類になっていった進化を研究するフロアがあるのです。

 

ファンタジーでありながら、神を否定する進化を証明し、あまつさえ時間を制御しようとする科学技術があります。

 

しかし、物語を通してマナが科学によるものである示唆などは一切ありません。

 

 

これがクロノ・クロスの違和感、世界観から明らかに浮いている進化論です。

 

 

続いて、シミュレーション仮説の説明に入ります。

シミュレーション仮説とは、この世界が高次元世界によるシミュレーションであるという仮説です。

 

科学技術が想像を遥かに超えた発展を遂げて、今生きてる我々の意識までもコンピュータで再現されたものであるという説です。

 

シミュレーション仮説が本当だとすると、シミュレーションされたその中でシミュレーションが行われ派生してゆくと言われています。

 

クロノ・クロス最終章の題名が

「全ての夢みるものたちのために」

 

以下はグッドエンディングでヒロインの分身が突然語る詩(怪文書)です。

自分の解釈で要約します。

 

①問題提起パート

 

ずっと、待っていたわ…

この瞬間を…

 

意味もなく傷つけられ、

失われてゆく生命たち…

かき消されてゆく言葉、

埋もれてゆく想い…

バラバラにほどけてゆく細胞の海…

 

溶けてゆく意識の残響…

愛するゆえの憎しみ…

憎むがゆえの愛しさ…

何のために生まれ、

何のために死ぬのか…?

 

進化…

傷つけ合い、殺し合い…、

弱肉強食の果てに

何が得られるというか?

 

意訳

進化とは淘汰の結果でしかない無数の生命には確かに心や意志はあるのに。世界は残酷だ。

 

②シミュレーション仮説パート

 

星という名の一個の「卵」と、

それに群がる、無数の命という「種子」…

その無数の種子のなかの一つと、

星が結ばれたとき、新たな宇宙が生まれる。

 

そこに至るまで何十億という歳月と、

無数の、生まれ、死んでいった生命…

 

それはすべて、

その一瞬のためだけに、あった。

宇宙がさらなる、次の次元に

進化するために…。

 

それではあらゆる生命は、

星と結ばれるただ一個の命を

生み出すためだけに

生まれ、死んで行く…、

捨て石にすぎないと言うのか?

 

意訳

生物淘汰により知性を持つ生き物の科学技術が発展し、現実の完全再現を可能にするシミュレーターが発明される。

生きてる意味があるとすればその世界の知性がシミュレーションに到達する為であり、その進化の過程に過ぎない命は捨て石なのか?

 

③解脱パート

 

いいえ、それは違う。

全ての生命に、チャンスはある。

星と結ばれる唯一の生命は、

「あなた」なのかもしれない。

 

遺伝、環境といった、自分に与えられた、

限られた条件のもとでベストをつくし、

自らの生を全うしようとする生命は、

新たな宇宙に連なる黄金の鎖の輪の一つ。

 

誰かひとつ欠けても、「未来」はない。

この世にムダな生命、

捨て石の命などというものはない。

 

意訳

そんな事ない意味はある。全部繋がってる。

みんなバックグラウンドがどうであれ最善を尽くそう。

 

森羅万象あらゆるものが、

「いのち」の夢を

みているのかもしれない。

 

そして、そのすべてさえもが、

生まれる前の星がみている、

ひとつの夢に

過ぎないのかもしれない…

 

意訳

この世代のシミュレーションはみんなの意識を飛ばす形で行っているかもしれない。

でもその意識を飛ばしてる人もその前世代のシミュレーション内だけで生きている生命かもしれない。

 

だが…

ああ、やがてすべての夢は

還ってゆくだろう…

ズルワーン…夢の海に…

 

意訳

シミュレーションは世界を豊かにする為にある。いずれ第一世代の世界へ全ての情報は還元されるであろう。

 

 

以上が自分の詩の解釈です。

マナによる神的要素の存在と進化論による神の否定によって起こる矛盾を、シミュレーション仮説によって何でもアリだよって説明している。

 

神を信じずに死を克服する

それがクロノ・クロスという哲学書です。

 

もな

 

 

 

 

以下感想

音楽は光田康典さん作曲です。最高

 

フィールドは、南国の村や城下町の穏やかな時が流れる、どこか懐しい雰囲気を持つ街並みが素敵でした。

 

特に優れているのは、モブの台詞です。

人柄から立場、年代、人生の背景を少しの会話で理解させる情報の簡潔さがあります。

人を知るために、クエストやエピソードが不要

 

戦闘システムは、中盤装備必殺技が整うまでチグハグのクソ、中盤の後半は楽しいです。終盤はヌルゲー。

 

ストーリーはまあまあでした。

基本的に仲間のキャラはパーティに入れてるキャラクターが口調に合わせて喋って、ストーリーに操られています。

 

終盤、意味不明な宇宙人が襲ってきて、倒すと仲間になったからパーティに入れると、入れた瞬間からストーリーで喋るし物分かりが良過ぎてビックリした

『◯◯を助けるんダろ…?』みたいな感じ

 

まあ、でも、振り返って良い40時間でした

 

もな